仙台市は、東北最大の都市であり、商業施設や大学もある人気の地域です。住みやすい地域のため、マイホームを建てて長く住みたいという人も多いのではないでしょうか。この記事では、仙台市で注文住宅を建てるときにかかる費用の相場をご紹介します。予算の決め方も解説するため、注文住宅の建築を検討している人は参考にしてください。
仙台で注文住宅を建てたらどれくらいかかるの?
宮城県仙台市は、人口109万人を誇る東北最大の都市です。東北地方のなかでも積雪量が少ないため、冬でも比較的暮らしやすい気候が特徴です。また、東北新幹線が停車する仙台駅や、中心部から電車で20分あたりの位置に仙台空港があり、県外や都内もスムーズに移動できます。川や山など自然が豊かなだけでなく、東北大学などの教育機関も充実しているため、幅広い世代の人が住みやすい都市といえます。
そんな仙台市で注文住宅を建てるときの相場は、坪単価平均100万円となっています。名取市は坪単価平均26万円、多賀城市は坪単価平均21万円といったように、周辺の市区町村と比較しても坪単価に大きな差があります。つまり、仙台市で40坪の注文住宅を建築する場合、単純計算で4000万円程度かかります。
人気のエリアと地域別の土地相場をご紹介!
仙台市内でも地域によって土地の相場が異なります。ここでは、仙台市内の5つの地域の土地相場をご紹介します。
ひとつ目は青葉区です。青葉区の坪単価は約144万円で、5つの区のなかでもっとも坪単価が高い地域です。青葉区は、人口、面積のどちらも5区のなかでもっとも大きく、人気のエリアといえます。都内からのアクセスもよい仙台駅があり、東北大学をはじめとした多くの大学や、行政機関、金融機関、商業施設が集中しているため、さまざまな地域から通勤者や買い物客が訪れる地域です。
ふたつ目は、若林区です。若林区の坪単価は約49万円で、青葉区に比べて100万円程度も低い価格です。若林区は、集合住宅などがあり、人口流入が進んでいる地域と、歴史的な町並みのどちらも存在する地域です。
3区目は、宮城野区です。若林区の北に位置する宮城野区の坪単価は約43万円で、若林区の坪単価と大きな差はありません。宮城野区は、区内にJR東北本線やJR仙石線などの鉄道が通っており、沿線の地域に市街地が形成されています。
4区目は、太白区です。太白区の坪単価は約30万円で、5区のなかでもっとも坪単価が安い地域です。太白区は、仙台市の南西に位置し、名取川に沿って東西に長く広がっています。都市を囲むように温泉や滝などがあり、豊かな自然が魅力です。
最後は泉区です。泉区の坪単価は約30万円で、太白区と同様に5区のなかでもっとも坪単価が安い地域です。泉区は、仙台市の北部に位置し、東西に伸びています。自然環境に恵まれており、稲作などの農業が営まれています。
注文住宅の予算の決め方は?
注文住宅を建てるときには、予算不足になって後悔しないためにも、まずしっかりと予算を決めることが大切です。では、どのように予算を決めていけばいいのかを3ステップでご紹介します。
まずは、住宅ローンの頭金をいくら用意できるかを考えましょう。住宅ローンの頭金を考えるときには、現在の貯金額や親から援助を受けられる金額、持ち家の売却金などを考慮して考えましょう。また、引っ越し資金や新居の家具・家電の購入費、仮住まい費用、新築工事にかかる諸経費などは、別途確保した状態で用意できる頭金を決めることがポイントです。用意できる頭金の額が決まったら、住宅ローンの返済期間や毎月の返済額を考慮して、無理のない借り入れ計画を立てましょう。
年間の返済金額目安は、年収の25%以内といわれています。返済シミュレーションなどを行い、問題なく返済できるかをしっかりと確認して金額を決めましょう。無理なく借りられる金額を決めたら、最後に土地の購入費と、建築工事費のバランスを考えます。立地を優先し、建築費を抑えるのか、立地は少し妥協して土地の購入費を抑え、内外装にこだわるのかなど、自分がどこにこだわって住宅を建てたいかを明確にしましょう。バランスを考えて予算を立てておかないと、土地を購入したあとに建築工事費が少なくなり、理想の家を建てられません。
注文住宅にかかる費用の内訳とは?
注文住宅にかかる費用は以下の3つに分けられます。
本体工事費用
付帯工事費用
諸費用
本体工事費用
本体工事費用は、住宅にかかる費用全般を指しており総工事費用の約8割を占めています。本体工事費用には以下の工事が含まれます。
基礎工事
内装・外装工事
ガス・水道配管工事
躯体工事
電気工事
住宅設備工事
付帯工事費用
付帯工事費用は、本体工事費用以外の費用を指し、約2割を占めます。付帯工事費用は「別途工事費用」とも呼ばれており、以下の工事が含まれます。
外溝工事
給排水・ガス引き込み工事
地盤調査
地盤改良工事
解体工事
ハウスメーカーによっては付帯工事費用に空調工事・照明器具取り付けが含まれるケースがあります。
諸費用
上記、本体・付帯工事費用は注文住宅そのものに関係する費用ですが、それ以外に諸費用がかかります。
住宅ローン手続き費用
契約手数料
印紙代
登記費用
地鎮祭・上棟式費用
家具・家電購入費用
これらの諸費用は現金で支払うことが基本となっています。
宮城県で注文住宅を建てる際の費用相場
では宮城県で注文住宅を建てる際の費用相場について見ていきましょう。
延床面積・建築費・坪単価・土地取得費
延床面積・建築費・坪単価・土地取得費の算出には2020年度に集計された住宅金融支援機構のデータを用いています。
注文住宅のみ | 延床面積 | 建築費 | 坪単価 |
---|---|---|---|
宮城県 | 約132㎡(約40坪) | 約3,400万円 | 約85万円 |
全国 | 約124㎡(約38坪) | 約3,500万円 | 約94万円 |
大きな差はありませんが、宮城県の方が延床面積における建築費用は安い傾向にあります。坪単価も全国と比較すると約10万円ほど安いです。
続いて、土地付き注文住宅のケースを見ていきます。
土地付き注文住宅 | 延床面積 | 建築費 | 坪単価 | 土地取得費 |
宮城県 | 約115㎡(約35坪) | 約2,990万円 | 約86万円 | 約1,180万円 |
全国 | 約110㎡(約34坪) | 約2,960万円 | 約88万円 | 約1,440万円 |
土地付き注文住宅のケースでも宮城県の方が全体費用を安く抑えることができます。
坪数別の建築費用の相場
坪数別の建築費用の相場にも2020年度に集計された住宅金融支援機構のデータを用います。
注文住宅のみ | 20坪 | 30坪 | 40坪 | 50坪 | 60坪 |
宮城県 | 約1,700万円 | 約2,600万円 | 約3,400万円 | 約4,400万円 | 約5,100万円 |
全国 | 約1,870万円 | 約2,800万円 | 約3,750万円 | 約4,690万円 | 約5,620万円 |
こちらも大きな差はありませんが、宮城県の方が全国よりも坪数別建築費用は安く抑えられます。例えば、60坪の場合だと500万円ほど安く抑えられます。
続いて、土地付き注文住宅のケースも見ていきます。
土地付き注文住宅 | 20坪 | 30坪 | 40坪 | 50坪 | 60坪 |
宮城県 | 約1,720万円 | 約2,570万円 | 約3,430万円 | 約4,300万円 | 約5,150万円 |
全国 | 約1,870万円 | 約2,800万円 | 約3,750万円 | 約4,690万円 | 約5,620万円 |
土地付き注文住宅でも、宮城県の方が坪数別建築費用を安く抑えられます。
宮城県で注文住宅を建てる際の資金計画データ
では宮城県で注文住宅を建てる際の資金計画データとして以下を解説します。
世帯年収・自己資金・住宅ローン借入額・返済額
住宅ローンの返済方法や返済期間
住宅ローンのボーナス返済の併用有無
世帯年収・自己資金・住宅ローン借入額・返済額
世帯年収・自己資金・住宅ローン借入額・返済額は住宅金融支援機構が公開している2022年度のフラット35利用者調査のデータを参照しています。
まずは、注文住宅のみのデータです。
注文住宅のみ | 世帯年収 | 自己資金 | 住宅ローン借入額 | 返済額 |
宮城県 | 約570万円 | 約410万円 | 約2,980万円 | 約94,600万円 |
全国 | 約590万円 | 約620万円 | 約2,920万円 | 約94,400万円 |
宮城県では、世帯年収が全国よりも低い傾向にあります。自己資金も少ない傾向にありますが、住宅ローン借入額は全国よりも多いです。
続いて、土地付き注文住宅のデータです。
注文住宅のみ | 世帯年収 | 自己資金 | 住宅ローン借入額 | 返済額 |
宮城県 | 約620万円 | 約340万円 | 約3,820万円 | 約119,500万円 |
全国 | 約630万円 | 約440万円 | 約3,960万円 | 約115,100万円 |
こちらも、世帯年収が全国よりも低い傾向にあります。ただ、住宅ローン借入額も低く、返済額のみ全国を上回っています。
住宅ローンの返済方法や返済期間
では続いて、住宅ローンの返済方法や返済期間も見ていきます。
まずは「元利均等償還」での返済方法で注文住宅のみで返済期間における利用人数を見ていきましょう。
注文住宅のみ | 10年 | 11~15年 | 16~20年 | 21~25年 | 26~30年 | 31年~ |
宮城県 | 1 | 6 | 16 | 3 | 21 | 206 |
全国 | 56 | 285 | 735 | 453 | 807 | 7,503 |
「元利均等償還」を選ぶ人の多くは、31年以上かけて返済をしています。
続いて、土地付き注文住宅の場合も見ていきます。
土地付き注文住宅 | 10年 | 11~15年 | 16~20年 | 21~25年 | 26~30年 | 31年~ |
宮城県 | 1 | 1 | 4 | 6 | 19 | 465 |
全国 | 4 | 50 | 271 | 396 | 994 | 21,794 |
土地付き注文住宅でも「元利均等償還」を選ぶ人の多くは、31年以上かけて返済をしています。
では「元金均等償還」での返済方法で、注文住宅のみの返済期間における利用人数を見ていきましょう。
注文住宅のみ | 10年 | 11~15年 | 16~20年 | 21~25年 | 26~30年 | 31年~ |
宮城県 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 1 |
全国 | 2 | 23 | 52 | 25 | 32 | 188 |
「元金均等償還」でも返済期間を31年以上に設定している人は多いですが、16~20年と設定している人もいます。
続いて、土地付き注文住宅の場合も見ていきます。
注文住宅のみ | 10年 | 11~15年 | 16~20年 | 21~25年 | 26~30年 | 31年~ |
宮城県 | 0 | 0 | 1 | 1 | 1 | 6 |
全国 | 0 | 6 | 26 | 23 | 41 | 287 |
土地付き注文住宅でも31年以上と設定している人が多く、年数が多くなるに従って利用者数も増えています。
住宅ローンのボーナス返済の併用有無
では最後に、住宅ローンのボーナス返済の併用有無も見ていきます。
注文住宅のみ | 併用あり | 併用なし |
宮城県 | 24 | 231 |
全国 | 1,177 | 8,984 |
住宅ローンのボーナス返済併用をしている人は少ない傾向にありました。
続いて、土地付き注文住宅の場合も見ていきます。
注文住宅のみ | 併用あり | 併用なし |
宮城県 | 116 | 389 |
全国 | 4,388 | 19,504 |
土地付き注文住宅の場合でも併用なしの割合が多い傾向にありました。半数以上が一定額をコンスタントに支払い続けています。
宮城県で注文住宅の費用を安く抑えるポイント
上記のデータを見て「少しでも費用を安く抑えたい」と感じた方は多いと思います。そこで、宮城県で注文住宅の費用を安く抑えるポイントを5つご紹介します。
家の形状で費用を抑える
外構費用を抑える
設備や建材で費用を抑える
間取りで費用を抑える
土地探しで費用を抑える
家の形状で費用を抑える
基本的に、家の形状はシンプルにしておいた方が費用は安くなります。
例えば、凸凹した家を建てる場合はそれだけ建築技術や材料も必要になってきますので、費用は相場よりも高くなりがちです。家だけでなく屋根もシンプルなものにしておいた方が全体的な工事費用を抑えることができます。
また、階数に関しては平家よりも二階建てをおすすめします。
同じ延床面積だと仮定した場合、平家だと二階建てよりも広さが必要になってきてしまい、その分だけ広い土地を購入しなければなりません。基礎部分・屋根などの施工面積が増えてしまう要因となり、建築費用が高くなってしまいます。費用的な問題が生じた場合は、平家よりも二階建てをおすすめします。
外構費用を抑える
庭園や門扉・フェンスなどを設置する場合、全体的な工事費用は当然ですが高くなります。
もちろん、住宅をよりおしゃれに見せるために庭園や門扉・フェンスなどを取り付けることはおすすめです。しかし、費用を抑えるためにはこういった外構費用から抑えていかなければなりません。
「外構がないと防犯面で不安…。」と考える方も多いかもしれませんが、外構がないことにより住宅全体がオープン化されかえって侵入されにくい住宅になる効果があります。侵入してきた人が周囲から丸見えになるため、わざわざリスクを冒して進入をしてこなくなるのです。
設備や建材で費用を抑える
注文住宅の場合だと、住宅内の設備・建材は自由に選ぶことができるため費用を抑えられます。
例えば、同じメーカーが製造している設備・建材を選ぶとその分だけ工事費用が安くなることもありますし、シンプルなデザインの建材を選ぶことでも工事費用は安くなります。全体的な工事費用を抑えたい場合は、カットできるところをカットしていく必要があるのです。
ただ、以下のように「費用を抑えない方が良い設備・建材」があります。
耐震に関する設備・建材
断熱に関する設備・建材
抑えすぎることにより、もしもの時に被害に遭いやすいようになりかねません。抑えられるところは抑えるのがベストですが、抑えない方が良い設備・建材があることを念頭に置いておきましょう。
間取りで費用を抑える
最もシンプルで最も簡単にできる費用カットの方法は、間取りを小さくすることです。
間取り、いわゆる延床面積を抑えることにより購入する土地も小さくすることができます。建築する範囲も狭くなりますし、設備の数も少なくすることができますので全体的な工事費用だけでなく住宅そのものの費用も抑えることができます。
しかし、間取りも設備・建材と同じくカットしない方が良いところもあります。
日常生活において必要不可欠な間取りは最低限残しておくようにしてください。費用を抑えるために日常生活が不便になってしまうことは本末転倒ですし、結局いろいろと買い足してしまい費用が嵩んでしまう可能性が高いです。
土地探しで費用を抑える
地価が高いエリアで注文住宅を構えてしまうと、その分だけ費用が相場よりも高くなります。
「絶対このエリアに住みたい!」と確固たる意志がない場合は、地価が比較的安いエリアを探してみるのもいいかもしれません。また、形状・立地に難がある土地ほど費用は安くなる傾向にあるため、いろいろと探してみてください。
ただ、注意点として難がある土地を購入し実際に建築が始まる際に「想像以上に建築が難しく費用が嵩んでしまった」ということがあり得ます。土地に難があるということはそれだけ建築がしにくいということであり、技術面や本来必要でなかった時間までかかってしまうかもしれません。
地価が安い、土地に難がある、建築しやすいなどバランスを見て検討しましょう。
まとめ
仙台市は、人口109万人の東北最大の都市であり、商業施設や大学があって家族でも住みやすい地域です。なかでも青葉区は、東北新幹線が停車する仙台駅があり、東北大学をはじめとした大学や行政機関、金融機関も多く、とくに人気のエリアといえます。そのため、坪単価は約144万円と高く、ほかの区に比べてもとくに高額なのが特徴です。青葉区以外の区の坪単価は30~50万程度です。どのエリアに住宅を建てるかによって、坪単価に差があるため、利便性だけでなく、必要資金の違いにも注目してエリアを決めましょう。立地を優先するのか、住宅の内外装を優先するのかを明確にし、余裕をもった予算計画を立てることがポイントです。無理のない住宅ローン計画を立て、仙台市での理想の生活を実現しましょう。